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インタビュー澤和樹
2014.10.10 | Category 独創人インタビュー

独創人インタビュー

 
第10回  澤和樹先生

Japan Treasure Summit(JTS)は、

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術が果たす役割を世に問い、学術芸術のすばらしさを発信するとともに日本社会に合った寄付文化・社会的投資文化の形を提案することで、学術芸術活動を社会全体が支える風土を醸成していきたいと考えています。

JTSでは、学術芸術界のトップリーダーである独創人のご経験を伺いながら、日本社会に合った寄付文化・社会的投資文化の形を模索していきます。

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<JTS事務局(JTS)>
先生のお考えになる、音楽・芸術の意義についてお聞かせ下さい。

<澤和樹先生(澤)>
文明が発展し、生活の利便性が高まるにつれ、人間本来の生物的な自然なもの、生理的なものが乱されているのではないか、と感じています。現代人の身体や心の不調というものは、ストレスが大きな要因であると思いますが、それを癒し本来のリズムに戻すのに、芸術の力が果たす役割は大きいと考えます。クラシック音楽の名作には緊張と弛緩の瞬間が絶妙に配置されています。音楽に限らず全ての芸術に当てはまるであろうこの間合いが、人間の生理的なものと一致し、それが世代を超えて普遍的なものとして人々に愛されているのであろうと考えています。また、呼吸と心拍の関係と音楽の拍子に共通のものがあります。正しい演奏解釈と正しい技術でクラシック音楽を再現すれば、聴いて下さる方に、本来の人間らしいリズム・調和を取り戻すことができるだろうと考えています。

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<JTS>
音楽の持つ普遍的な力について、事例をお聞かせ下さい。

<澤>
近年、インターネットの普及などで、気軽に音源を得ることができますが、私はやはり素晴らしい生の演奏に触れることが、世の中の平和の為に大切なことと信じています。最近は文部科学省の方針などもあり、音楽の授業が削減される傾向がありますが、私は、小さい子供のころからこそ、素晴らしい音楽・芸術に触れることが、その人間形成に必要なことと痛切に感じており、その考えに基づいて、諸方面へ働きかけをしていきたいと考えています。近ごろの子供たちは、バーチャルなコミュニケーションやゲームを使う時間が増していることもあり、その点を非常に懸念しています。

ベネズエラには、「エル・システマ」という音楽教育プログラム有志組織があります。これは、1975年ごろから音楽家で経済学者でもあるホセ・アントニオ・アブレウ博士によって「音楽の社会運動」の名の下で設立されました。ストリートチルドレンと言われる貧しく犯罪に染まりがちな多くの子供たちに、国が費用を負担し楽器を与え、教育者の派遣を行ってます。子供たちは無料で、自分の好きな楽器の演奏を学ぶことができるのです。現在、三十数万人の子供たちがジュニアオーケストラというような形で、音楽に親しみ、楽しんでいるようです。その結果として、目に見えて若年層の麻薬など犯罪が減り、大きな社会問題のひとつが軽減されました。この活動から生まれたオーケストラで、現在世界的な指揮者が客演したり、また出身者が大きなオーケストラの奏者に合格したり、と大きな成果も上がっています。国の力を、このような形で発揮することが、日本でも実現できたら、と考えています。日本では、子供たちが他に興味をひかれる物事が溢れていますが、その中で、私は力づくでも子供たちを音楽の魅力や楽しさに向けさせたい、と思っています。

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